ウォーターセラピーを知ろう

ウォーターセラピーって何?

ウォーターセラピーの歴史

ウォーターセラピーの歴史

 ウォーターセラピーは、19世紀に馬の世界で発展してきました。腱鞘炎や跛行、競技によるケガ、その他体調を整えるための療法でした。現在も競走馬のリハビリに良く利用されています。

 犬のウォーターセラピーは、もともと湖や川、海で行われてきました。しかし、犬の体調改善を目的としたウォーターセラピーは、30℃前後の水温が適度とされ、自然の中でのスイミングとは別物と考えられます。冷温は、血管を収縮させ、筋肉が冷え、ケガを起こしやすいのです。また、犬たちをきちんと監視する必要があり、自然の中では割れたガラスや釣り具などでケガをしたり、浮き具のない状態では疲れてしまい、溺れるケースも考えられます。そのため、安心して行えるリハビリテーションとしてプールでのウォーターセラピーが盛んになりました。

ウォーターセラピーの効果

ウォーターセラピーの効果

 スイミングは、リハビリテーションとして人でも動物でもよく利用される手段であり、浮力により体重が四肢にかからないため関節や骨に負担なく筋肉量を増加させることが可能です。水中歩行は、水の量によって計画的に負荷を増やしていくことができるので理想的な療法と言われています。
 犬のウォーターセラピーが盛んな欧米などでは、犬種やその個体にもよりますが、健康維持を目的として一般的には遅くとも6ヶ月齢には始めます。ただし、大型犬は小型犬に比べて成長度が遅いので幼齢時の運動は未完成の関節などにダメージを与えないよう、また過度に筋肉が発達しないよう注意が必要です。正しい知識を持ったセラピストが犬種、年齢にあったウォーターセラピーを行うことで、犬の健康維持を促進していけるのです。

目的別にみるウォーターセラピー

若犬の健康維持

 若くて健康な犬にとって、その健康を維持するための基本的な運動は日頃の散歩です。階段の上り下りや登坂降坂を取り入れることで筋力を維持することはできますが、ウォーターセラピーは、より負荷の高い全身運動です。散歩に加え、週1回のスイミングを行うことで筋肉量の増加や心肺機能の向上に繋がり、より若々しいカラダを維持することができます。

高齢犬のロコモ予防

 健康な若犬よりもスイミングがさらに効果的なのは高齢犬です。人と同じで犬も歳をとるとカラダの様々な機能に衰えが生じてきます。特に運動が好きな犬にとって、筋力低下によって自由に動くことができなくなることは最大の悲しみです。地上歩行、特にアスファルトやコンクリート上の歩行は、足への負担も大きいため、筋力の衰えたカラダには厳しい運動になります。骨や関節への負担が少なく筋力アップできる水中運動は、高齢犬に最適な運動になります。また普段、陸上で思うように運動できない子が水中で自由に動けることは、精神的にも良い結果をもたらすと考えられます。

肥満犬のダイエット

 人と同じくダイエットは、摂取するカロリーと消費するカロリーのバランスが大切です。食事制限のみでのダイエットは筋肉量低下に繋がり、結果的に代謝が落ちて痩せにくいカラダになってしまいます。つまりダイエットは、適度な食事制限と共に健康なカラダ作りを行うことが最も有効と考えられます。しかし、肥満犬に運動させることで膝や腰などの障害(脱臼や靭帯損傷)が悪化するケースもみられます。ウォーターセラピーは、衝撃が小さく、かつ抵抗の大きい運動ですので、肥満犬のダイエットには最適だとされています。また、筋力アップによる代謝アップも期待できます。

リハビリテーション

 術後のリハビリテーションとして、筋力低下の改善や神経機能の改善を図る治療が行われます。地上ではできない、あるいはやりにくい運動でも、水の中なら容易に、かつ効果的にできることがあります。リハビリテーションとしてのウォーターセラピーは、獣医師と連携して行うことが重要です。

豆知識コーナー 水がもたらす効力
豆知識コーナー水がもたらす効力
「浮力」と「水圧」による効果

「浮力」と「水圧」による効果

 水上あるいは水中の物を上に押す力を「浮力」と言います。重力から解放されるので、関節に痛みのある犬にとっては、地上よりも快適な運動を行うことができます。
 また、深ければ深いほど大きな力で物を押す力を「水圧」と言います。軽い炎症による腫れやむくみを軽減することができます。一方で肺も圧迫されるため、呼吸に問題のある犬のスイミングは避けた方が良いです。

「粘性(抵抗力)」と「表面張力」による効果

「粘性(抵抗力)」と「表面張力」による効果

 水の中の動きに対して抵抗する力を「粘性(抵抗力)」と言います。軽い水中運動でも陸上の何倍も運動した事に相当すると言われるのはこの粘性によるものです。
 また、水の表面で動きを邪魔する力を「表面張力」と言います。粘性と表面張力の効果を最大限利用した運動が水中歩行です。

ウォーターセラピーのリハビリ適応

リハビリ効果が見込まれる症状

  • ・骨折
  • ・靭帯損傷
  • ・椎間板ヘルニア
  • ・股関節形成不全
  • ・変性性脊髄症(DM)
  • ・線維軟骨塞栓症(脊髄梗塞)
  • ・手術後の機能回復
  • ・老化による筋力低下

ウォーターセラピーご利用時の注意事項

  • ・心疾患をお持ちの場合:水中での運動は陸上に比べ心臓に負担がかかるため、おすすめできません。
  • ・呼吸器疾患をお持ちの場合:水圧により胸部に負担がかかるため、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。
  • ・感染症(皮膚疾患等)、手術の抜糸前の場合:プール内での感染を防ぐため利用できません。あらかじめご了承ください。